双極性障害(躁うつ病)
双極性障害(躁うつ病)
「ものすごく調子が良くて活動的な時期」と「絶望的に落ち込む時期」を繰り返していませんか?気分の浮き沈みが激しく、「自分は性格にムラがあるだけだ」「頑張りが足りないのではないか」と悩んでいる方も少なくありません。しかし、その背景に「双極性障害」というこころの病気が隠れている可能性があります。かつて「躁うつ病」と呼ばれていたこの病気は、適切な診断と治療を継続することで、症状を安定させ、穏やかな日常生活を取り戻すことが十分に可能です。早期に気づき、正しく向き合うことが何より大切です。

双極性障害は、気分が異常に高揚する「躁(そう)状態」と、激しく落ち込む「うつ状態」が繰り返し現れる気分障害の一つです。気分の波は数日から数か月単位で続くことがあり、その振れ幅が大きいことが特徴です。
躁状態のとき、本人は「絶好調」「何でもできる」と感じていることが多く、周囲から見てもエネルギッシュで魅力的に映ることがあります。そのため、本人が病気だと自覚しにくい傾向があります。しかし、その後に訪れるうつ状態では、極端な無力感や絶望感に襲われ、仕事や家庭生活、人間関係に深刻な影響を及ぼします。
なお、躁状態がはっきりと現れる「双極Ⅰ型」と、軽躁状態(比較的軽い躁状態)とうつ状態を繰り返す「双極Ⅱ型」があります。軽躁状態は一見すると「調子が良いだけ」に見えるため、見逃されやすい点にも注意が必要です。
双極性障害の原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に関わり合って発症すると考えられています。
神経伝達物質のバランス
脳内で感情や意欲を調整している神経伝達物質(セロトニンやドパミンなど)のバランスが崩れることで、気分の過度な高揚や落ち込みが生じると考えられています。
遺伝的背景
ご家族やご親族に双極性障害やうつ病などの気分障害を経験された方がいる場合、発症リスクがやや高まることが知られています。ただし、遺伝だけで決まるわけではありません。
ストレスや環境要因
仕事上のプレッシャー、人間関係のトラブル、出産や転勤、引っ越しなどの大きな環境変化がきっかけとなることがあります。生活リズムの乱れや睡眠不足も、症状の悪化に大きく関与します。
症状は大きく「躁状態」と「うつ状態」に分かれます。それぞれの状態で、考え方や行動、身体の状態が大きく変化します。
躁状態では、自己評価が過度に高まり、眠らなくても平気で活動を続けるようになります。アイデアが次々と浮かび、話が止まらなくなることもあります。一方で、注意力が散漫になり、計画性のない行動をとることが増えます。高額な買い物や無謀な投資、衝動的な転職、対人トラブルなどにつながることもあり、後から大きな後悔を残す場合があります。
一方、うつ状態では、強い抑うつ気分、意欲低下、興味や喜びの喪失がみられます。朝起きることがつらく、何をするにも強い疲労感を伴います。思考力や集中力も低下し、仕事や家事が思うように進みません。重症の場合、「自分には価値がない」「消えてしまいたい」といった考えが強まることもあり、注意が必要です。
診断は主に医師による丁寧な問診を通じて行われます。現在の症状だけでなく、これまでの人生の中で「気分が異常に高揚していた時期がなかったか」を詳しく振り返ることが重要です。
うつ状態のときに受診される方が多く、躁状態のエピソードが見逃されると、うつ病と診断されてしまうことがあります。そのため、初診時には可能であればご家族からの情報も参考にします。
必要に応じて血液検査を行い、甲状腺疾患など身体的要因を除外することもあります。正確な診断が、適切な治療への第一歩となります。
治療の中心は薬物療法ですが、精神療法や生活リズムの安定も同じくらい重要です。再発を防ぐためには、症状が落ち着いている時期も含めて継続的な治療が必要です。
気分の波を安定させる「気分安定薬」や「抗精神病薬」が使用されます。これらは躁状態とうつ状態の両方を予防する役割があります。抗うつ薬は慎重に使用する必要があり、単独投与は躁転のリスクを高める可能性があります。医師の指示に従い、自己判断で中断しないことが大切です。
認知行動療法などを通じて、自身の気分の変化に早めに気づき、対処する力を身につけます。また、ストレス対処法や再発予防のサインを整理することも重要です。
特に睡眠リズムの安定は再発予防の要です。夜更かしを避け、一定の時間に就寝・起床すること、過度な飲酒を控えること、適度な運動を取り入れることが勧められます。
双極性障害のうつ状態は、見た目にはうつ病と区別がつきにくいことがあります。しかし治療方針が大きく異なるため、正確な診断が不可欠です。特に抗うつ薬の使い方には注意が必要です。
波をゼロにすることは難しい場合もありますが、適切な治療により安定した状態を長く保つことは可能です。多くの方が仕事や家庭生活を続けています。
遺伝的要因は関与しますが、それだけで決まるわけではありません。生活環境やストレス管理も大きく影響します。
ご不明点が解消しない場合は、よくある質問ページもご覧ください。
それでもご不安な場合は、お気軽にご相談・ご予約いただけます。
双極性障害は、長期的な視点で向き合う必要のある病気です。しかし、躁の状態も、うつの状態も、あなたの本来の性格ではなく「症状」です。適切な治療とサポートにより、気分の波をコントロールしながら安定した生活を送ることは十分可能です。
「もしかして」と感じたときが、相談のタイミングです。ご本人だけでなく、ご家族からのご相談もお受けしています。一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
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